インタビュー
INTERVIEW 02マリンサービス 海夢居(かむい)/代表鈴木 竜爾さん
鹿児島県大島郡徳之島町諸田532−1 マリンサービス海夢居-
徳之島の魅力を教えてください。
世界遺産登録になっているのに、乗り継ぎでしか来られない島というところですね。
徳之島って便利なものがないんですよ。でもそれが良いんです。人との繋がりとか、濃すぎる人間関係だとか、今の時代で忘れられてる形のない大事なものが何でも見つかる島なんです。観光地化されると、どうしても島の人と触れ合わないでも観光ができてしまう。
そういうことを考えると、徳之島は多くの南の島になくなりつつある魅力が残っているなと。この島に初めて来たお客さんは「何もなかった、でも何かのどかでよかった」くらいの感想なんですよ。だけどその後に面白い表現をしていて、徳之島は「スルメみたいに噛めば噛むほど味が出てくるんだよね」って。 -
「マリンサービス海夢居」を始めたきっかけを教えてください。
僕は大学の時にもうダイビングで食べてくっていうのは決めてたんですよね。これしかないって、好きなことを仕事にしたいと。
それで大学を卒業するときに、どこでダイビングショップをというのを決めなきゃいけなかった。最初、沖縄に行ってみたんですが、ちょっと違ったんです。自分の理想と違って、でっかい船にお客さんいっぱい詰め込んで。このダイビングが本当に楽しいのかってすごい疑問に感じちゃって。ここじゃないなって思って、海の状況や条件もあって、徳之島でショップを始めることにしました。でも、最初島の人からは、「こんな乗り継ぎでしか来られないようなところでやっても」みたいなことは言われましたね。 -
「マリンサービス海夢居」の特徴を教えてください。
コンセプトがあって、お客さんには、3泊4日+ダイビング付きで売ってるんですよ。
ダイビングの時間って1日1回だいたい40分ぐらいですよね。1日3回潜っても、海の中にいる時間って2時間ぐらい。8時間は寝るとして、残り14時間お客さんを放っておくっておくのはよくないわけですよ。
僕はその14時間をダイビング以外で楽しんでもらわなきゃいけないと思っています。行き帰りの時間とか、ダイビングの途中に観光に寄る時間、ガイドする時間も含めて商品と考えています。 -
お仕事をする上でのやりがいや喜びを教えてください。
初めての人向けに体験ダイビングってメニューがあるのですが、それを終えて、「すごい楽しかったライセンス取りたい」と言っていただけて、さらに「ライセンスとりたい、どうやったらライセンスとるんですか?」と聞いていただけたら、なお嬉しいですね。それを聞けたら、今日は成功だなっていうのがありますね。
また他県からダイバーさんがいらした時に、徳之島を褒めてくださったりとか、「来年いつくらいに来ようかなあ」などというお言葉には満足感を感じます。
あと従業員に対して「スタッフの接客とかがよかった」といわれるのは最高の喜びですね。 -
お仕事をする上で、こだわりや大切にしていることはありますか?
これに関してはコンセプトはひとつで、「安全が第一、楽しみは2番目」です。お客様にもストレートに現実的なことをしっかりと伝え、あくまでも安全面を優先するようにしています。
ダイビング以外の時間を楽しく過ごして欲しいというのがあるので、ダイビングを楽しむのにも、安全がまず第一ですね。 -
これまでの苦労や、大変だったことについて教えてください。
徳之島で経営するというのは、機械から船を全て自前で投資し、自分で一通りできるようにならないといけないっていう大変さがありますね。
徳之島は大きな観光地ではないので、乗り合いで使える船もなく、船は自分で管理して、完結できるようにしないといけない。海に出るにも全部自分の責任だから、リスクが高いことが大変なところなんだけど、それが楽しかったりもします。 -
マリンアクティビティの季節ごとの楽しみ方について教えてください。
春は、幼魚のじっくり見ることができるのが楽しいですね。コブシメアイランドなんて言われていたほど、たくさんのコブシメが産卵しにくるんですよ。夏になると、とにかく魚が多いです!カラフルな熱帯魚など、南の島らしい魚を数多く見ることができます。秋になってくると、魚たちの求愛行動が見られます。繁殖期独特のすごく綺麗な色の魚を楽しむことができますよ。そして冬の最大の魅力は、徳之島に毎年子育てでやってくるクジラですね!ザトウクジラのシーズンです。去年は約330頭見ることができたんですよ。うちではスイムもできるし、ウォッチングもできます。お客様もめちゃくちゃ感動されますね。
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徳之島の海ではどんな生き物に出会えますか?
徳之島の海の特徴は、湾みたいなところがないから、綺麗な海を大きな視点で見られるというか。他だとかなり沖に行かないと見られないような魚を見ることができます。
また魚影(魚の群れ)が濃いですね。ダイバーが少ないから、自然のままの姿の魚が見られるところも特徴です。 -
最後に「道の駅 とくのしま」に期待することはあったら教えてください。
自然とか歴史・文化に興味がない人に対して、誰でもが親しみやすい、わかりやすい、子どもたちが楽しめるような展示のようなものをして、徳之島の情報発信の場になれば良いなと思います。あと徳之島って、雨だと観光できるところが少ないんですね。だから雨の日は、道の駅に行けば半日ぐらい楽しく過ごせる、徳之島のことがよく学べるなって施設になってもらいたいというのが僕の願いです。